空き家を所有していると、維持管理の負担や固定資産税の支払いなど、多くの課題に直面することになります。そんな中で「売却」を選択肢にする方も多いですが、実は空き家の売却には通常の不動産取引とは異なる、数多くの注意点や手続きが存在します。売却価格の決定方法から、契約後の税金対策まで、知らなければ損をしてしまう情報が満載です。
この記事では、「空き家 売却 注意」という観点から、売却に伴うリスクを回避し、最大限のメリットを得るための具体的な方法をわかりやすく解説します。不動産初心者の方でも理解できるよう、流れを追って丁寧にご紹介していきますので、これから空き家の売却を検討している方はぜひ最後までお読みください。
空き家売却注意の前に確認すべき基本知識
空き家の名義は売却前に必ず確認と変更を行う
空き家を売却しようと考えたとき、まず最初に確認すべきことが「その不動産の名義が誰になっているか」です。特に相続や贈与によって取得した物件の場合、名義変更がされていないケースが非常に多く見られます。これは法律的に所有権の証明ができない状態であり、売却手続きを進めるうえで大きな障害になります。
名義が故人のままになっている場合、売却の前に「相続登記」と呼ばれる手続きが必要です。この相続登記を行わなければ、不動産を売ることも、貸すことも、担保に入れることもできません。また、2024年からは相続登記が義務化され、違反した場合には過料が科されるリスクもあります。
一方で、名義変更は司法書士などに依頼することでスムーズに進めることができます。手間や費用がかかる部分ではありますが、売却を成功させるための第一歩として必ず確認し、対応することが求められます。もし名義が曖昧なまま売却に進もうとすると、契約後に無効になるリスクすらあるため注意が必要です。
安心して空き家を売却するためにも、「今の持ち主が誰なのか」「それを登記簿上で確認できるか」を早い段階でチェックし、必要な手続きを先に済ませておくことが、すべての基盤となります。
空き家売却注意としてリフォームや解体は慎重に判断する
「この家、少し古いからリフォームしてから売ったほうが高く売れるかも」と思う方も多いかもしれません。しかし、空き家売却においてリフォームや解体といった大きな工事は、必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。なぜなら、費用対効果のバランスを取るのが非常に難しいからです。
たとえば、200万円かけてキッチンや浴室をリフォームしても、売却価格がそれに見合うだけ上がるとは限りません。買主が「自分でリノベーションしたい」と考えている場合、そのリフォームがかえってマイナス評価になることすらあります。また、解体についても、固定資産税が優遇されていた状態が解除され、毎年の税負担が増えるという落とし穴もあります。
さらに、行政の補助金や特例措置が利用できる可能性がある場合もあり、むやみに自己判断で工事を始めるのは得策ではありません。まずは、現状の状態で査定をしてもらい、そのうえでプロの意見を聞くのがベストな進め方です。もし大規模なリフォームや解体が本当に必要であれば、その理由と見込み利益を冷静に計算してから動くことが重要です。
このように、リフォームや解体は計画的に、そして客観的な視点を持って検討することが、無駄な出費を避け、売却成功に繋がるポイントとなります。
空き家売却には意外と多くの費用が発生することに注意
空き家を売却すれば「まとまったお金が手元に入る」と期待しがちですが、その裏で発生する費用の多さに驚く方も少なくありません。売却に伴う費用は、単なる仲介手数料だけではなく、様々なコストが複雑に絡み合っています。
まず、不動産会社に依頼する場合、売却価格の最大3%+6万円(税別)という仲介手数料がかかります。さらに、売買契約書には印紙税が必要となり、金額に応じて数千円から数万円の支払いが発生します。加えて、登記費用や必要書類の取得手数料、場合によってはリフォームや解体の費用が加算されることもあります。
これらを合算すると、数十万円から場合によっては100万円を超えるケースも珍しくありません。特に不動産売却に不慣れな方にとっては、これらの費用が「予想外」の出費として重くのしかかるのです。
そのため、売却前に一度すべての費用をリストアップし、見積もりを取ることが非常に重要です。また、費用を事前に明示してくれる誠実な不動産会社を選ぶことも、安心した売却につながります。最終的な手取り額を正確にシミュレーションすることで、想定外の負担を回避し、より良い売却計画が立てられます。
空き家売却には余裕のあるスケジュールが重要
空き家の売却には「すぐに売れるだろう」という期待がありがちですが、実際の不動産取引は想像以上に時間がかかるものです。準備不足のまま売却に着手してしまうと、途中で手続きが滞ったり、買い手との交渉が難航したりして、大きなストレスを抱える原因になります。
名義変更や必要書類の準備、物件の現状調査、査定依頼など、売却前のステップだけでも最低数週間はかかります。さらに、実際に売りに出してから買主が見つかるまでの期間も物件の状態や地域によって異なりますが、1ヶ月〜数ヶ月は見込んでおいたほうがよいでしょう。
また、買主が見つかった後も、契約書の取り交わし、引き渡し、残金の決済など、多くの工程が控えています。これらがスムーズに進むためには、売主側にも余裕のあるスケジューリングが必要です。たとえば、決済日が自分の出張や引越しと重ならないように調整したり、税理士との打ち合わせ日を確保したりと、前もって動くことが求められます。
このように、空き家売却を成功させるためには、短期決戦ではなく、中長期的な視点でスケジュールを組み立てることが鍵となります。無理なく着実に進めることで、精神的にも余裕を保ちつつ、満足のいく結果を得られるでしょう。
空き家売却注意のポイントは価格と査定の工夫にある
空き家売却では相場調査をもとに価格を決定する
空き家を売却するにあたり、売却価格の設定は極めて重要な工程です。なぜなら、価格が高すぎれば買い手が付きにくくなり、逆に安すぎれば損をしてしまうからです。適正な価格設定には、地域の相場を調査し、その上で物件の状態や特性を踏まえた判断が求められます。
まずは、同じエリア内の過去の取引事例を確認しましょう。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」などを活用すれば、実際の取引価格を知ることができます。また、不動産ポータルサイトに掲載されている類似物件の価格も参考になりますが、これはあくまで「売り出し価格」であり、実際の成約価格とは異なる点に注意が必要です。
さらに、空き家がある地域の需要と供給のバランス、近隣施設の充実度、交通の利便性、築年数やリフォーム歴など、多面的な要因を加味する必要があります。単純に「隣の家はいくらで売れたから同じくらいで良いだろう」と考えるのはリスクが高く、根拠のある価格を設けることが売却成功への近道となります。
こうした市場調査と物件特性の分析に基づいて価格を設定することで、売却の早期実現と満足度の高い結果の両立が期待できます。
空き家売却注意として複数社に査定を依頼するべき理由
空き家を売却する際は、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼することが極めて重要です。なぜなら、査定額には各社の考え方や得意分野が反映されるため、金額にバラつきが出ることが多いからです。1社だけに頼ると、適正価格よりも高すぎる、あるいは安すぎる提示を受けてしまい、結果として損失を被る可能性があります。
実際に査定依頼をしてみると、同じ物件でも数十万円から百万円以上の差が出ることも珍しくありません。ある会社は「この地域に強い顧客層がいるから」として高めの査定を提示し、別の会社は「古い物件なので需要が低い」と低く評価する場合があります。このような差を比較することで、自分の物件の市場価値を立体的に捉えることが可能になります。
また、査定時には会社の対応や説明の丁寧さ、根拠の明確さなどもチェックポイントです。単に高い査定額を提示する会社が必ずしも良いとは限りません。その金額で売れる裏付けがあるのか、販売戦略はどうするのかなど、具体的な話を聞いて納得できるかどうかが、信頼すべき業者を見極める基準になります。
複数査定を取ることで、最終的に「自分がどこに任せるのが最も良いか」を判断しやすくなります。労力はかかりますが、その分納得のいく売却に繋がる確率も高まるのです。
空き家売却時の契約書内容は必ず確認しておくこと
空き家の売却において、不動産会社との契約、そして買主との売買契約は法的な効力を持つ重要な書面です。内容をよく理解せずにサインしてしまうと、後で大きなトラブルに発展する可能性があります。そのため、契約書の内容確認は慎重に行う必要があります。
不動産の売買契約書には、物件の状態や売買価格、支払い方法、引き渡し時期、契約不適合責任の有無など、さまざまな情報が記載されています。特に注意したいのが「契約不適合責任」です。これは売主が知らなかった欠陥についても一定期間内に発覚した場合には責任を負う可能性があるというもので、内容を十分に理解しないまま契約すると、思わぬ損害賠償請求を受けるリスクがあります。
また、条件の記載ミスや誤解によるトラブルも起こりやすい箇所です。口頭でのやり取りだけに頼らず、すべての条件が文書に明記されているかを確認しましょう。心配な点がある場合には、契約前に司法書士や不動産の専門家に確認してもらうと安心です。
さらに、契約書には法的な言い回しが多く用いられており、一般の方には分かりづらい部分もあります。理解が不十分なまま手続きを進めるのではなく、一つひとつの項目を丁寧に読み込み、自分で納得できるまで確認することが、後悔のない取引へとつながります。
有限会社ひかり不動産は、埼玉県美里町を中心に本庄市や児玉郡内の不動産の取り扱いと住宅建築を手掛ける創業50余年の地域密着企業です。土地や空家の買取りもお任せください。
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空き家売却注意は売却後にも必要な知識がある
空き家売却後には確定申告が必要になる場合がある
空き家を売却した後、思わぬ落とし穴となるのが「確定申告」です。売却して現金を手にした時点で、その取引は「譲渡所得」として税務上の対象になる可能性があります。特にサラリーマンなど、普段確定申告に馴染みのない人にとっては盲点となりやすい項目です。
譲渡所得とは、空き家を売ったことによって得た利益、すなわち「売却額から取得費と譲渡費用を差し引いた額」を指します。これがプラスになれば所得税・住民税の対象となり、申告しなければならなくなります。売却した翌年の2月16日から3月15日までに税務署に申告を行う必要があり、これを怠ると延滞税や無申告加算税など、余計な負担を強いられることになります。
一方で、一定条件を満たせば税金が軽減される「特別控除」などの制度も存在します。たとえば、相続で取得した空き家であれば「3,000万円特別控除」が適用される可能性があり、これにより大幅に課税額を抑えることが可能です。ただし、このような制度の適用には多くの条件があるため、申告前に確認が必要です。
確定申告の準備としては、売買契約書、登記簿謄本、取得費を示す書類、譲渡費用の領収書などが必要になります。これらの書類を整理しておくことが、スムーズな申告と節税対策の第一歩となります。
空き家売却後の控除申請は期限厳守が重要
空き家の売却後に利用できる控除や税制優遇制度は、知っているかどうかで負担額が大きく変わるほど重要なものです。しかし、これらの制度は「申請すれば自動的に適用される」ものではなく、ほとんどが「申請者の手続きにより初めて適用される」という特徴を持っています。ここに、もう一つの注意点があります。それが「申請期限」です。
たとえば、「相続空き家の3,000万円特別控除」を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。具体的には、相続後にその家屋を売却し、かつその家屋が昭和56年以前に建築されたものであること、耐震性を確保しているか解体して売却した場合であることなどが挙げられます。そしてこの制度には、売却した年の翌年に確定申告するという期限があります。
この期限を1日でも過ぎてしまうと、制度を利用することができなくなり、数百万円単位の控除が受けられなくなることもあります。多くの方が、書類の準備が間に合わずにこの期限を逃してしまい、後悔してしまうのです。
そのため、売却が決まった段階で、控除制度について事前に調査を行い、税理士や不動産会社と連携して早めの準備を進めることが大切です。売却後にホッとして油断するのではなく、控除の申請までが「空き家売却の完了」と捉えるべきです。
結果として、税制優遇をしっかり受けられれば、手取り額が大きく変わり、次のライフプランに大きな余裕が生まれます。知識と行動が、損をしないための鍵になります。
空き家売却の注意点に基づく売却までの流れを理解する
空き家の売却は、単に「売りたい」と思ってすぐに実現できるものではありません。売却成功には、事前の計画や情報収集が不可欠です。そして、空き家特有の事情を踏まえた注意点を押さえながら、一つひとつのステップを丁寧に進める必要があります。
まず最初に行うべきは「物件の現状把握」です。家の状態や築年数、残置物の有無、登記情報など、物件に関する情報を正確に整理することが出発点になります。特に、名義が自分のものになっているかどうかの確認は必須です。名義が前所有者のままであれば、売却の手続きが一切進まないため、相続登記などの手続きを最優先で行わなければなりません。
次に行うのが「不動産会社への査定依頼」です。ここでは、1社ではなく複数社に査定を依頼し、価格の相場や会社ごとの対応の違いを比較検討することが重要です。ここでしっかりとした会社を選ぶことで、後の売却活動がスムーズに進み、売却価格にも納得がいきやすくなります。
その後は「売却価格の決定」と「媒介契約の締結」です。不動産会社と媒介契約を結ぶことで、正式に売却活動がスタートします。売却価格は、査定価格や相場を参考に、自分の希望とバランスを取りながら決定します。ここで高すぎる価格を設定すると売れ残りの原因になり、逆に安くしすぎると損をしてしまうため、慎重に判断する必要があります。
物件の掲載が始まったら、内覧の対応なども発生します。空き家とはいえ、買い手にとっては大きな買い物です。清掃や修繕など、見た目の印象を良くしておくことも成約率を高める重要な要素です。
そして、買主が決まったら「売買契約書の締結」と「引き渡し準備」に入ります。契約内容には、売却価格、支払い方法、引渡日、契約不適合責任の範囲などが記載されますので、細かく確認し、納得したうえでサインする必要があります。契約後は、決済と同時に物件を引き渡す形となり、すべての手続きが完了します。
ただし、ここで終わりではありません。売却後には確定申告や控除申請といった「税務処理」が待っています。これを怠ると、思わぬ追徴課税などのリスクがあるため、最後まで気を抜かずに準備を進めましょう。
このように、空き家の売却は、準備から契約、税務処理まで多くのステップが存在します。各段階において重要な注意点があるため、一つひとつを丁寧に、計画的に進めることが、納得のいく売却への近道となるのです。
空き家売却注意を踏まえた費用の内訳を把握しよう
空き家を売却する際、多くの方が「いくらで売れるか」ばかりに注目してしまいがちですが、「いくら費用がかかるか」を正確に把握していないと、結果的に手元に残る金額が大きく変わってしまいます。費用を軽視すると、予定していた資金計画に大きな狂いが生じてしまう可能性があるため、売却前に細かく費用の内訳を理解することがとても重要です。
まず、代表的な費用として挙げられるのが「仲介手数料」です。これは不動産会社に売却を依頼する場合に発生し、売却価格の3%+6万円(税抜)が上限となっています。例えば、1,000万円で空き家を売却した場合、仲介手数料は約39万円(税込)にもなります。この金額は見落としがちですが、売却後の受け取り金額に直接影響するため、必ず想定しておきましょう。
次に必要となるのが「登記関連費用」です。特に抵当権が残っている場合は「抵当権抹消登記」の手続きが必要であり、その際に司法書士報酬と登録免許税がかかります。また、相続登記が未了であれば、こちらも同様に費用が発生します。手続きを司法書士に依頼した場合、数万円〜十数万円程度が相場です。
さらに、「印紙税」も見逃せません。これは売買契約書に貼付する印紙に対して課税されるもので、契約金額に応じて金額が変動します。たとえば1,000万円以上5,000万円以下の売買契約には1万円の印紙税がかかります。こちらも契約書作成時に必要となるため、忘れずに準備しておきましょう。
また、空き家の状態によっては「リフォーム費用」や「解体費用」も発生します。築年数が古く、内装が劣化している物件では、買い手がつきやすくするためにある程度の補修を行うことが望ましいケースもあります。リフォーム内容によっては数十万円から百万円以上かかる場合もあるため、事前に業者へ見積もりを取って検討しましょう。
加えて、空き家が遠方にある場合や、管理を長期間行っていなかった場合には、残置物撤去や清掃費用などもかかることがあります。特に、ゴミ屋敷化してしまっているような場合には、専門業者による作業が必要になり、10万円〜30万円ほどのコストがかかることもあります。
これらをすべて合算すると、空き家の売却にかかる費用は数十万円から、場合によっては100万円を超えることもあり得ます。想定外の費用が後から発生すると精神的な負担にもつながるため、あらかじめすべての可能性を洗い出し、予算を組んでおくことが成功への近道です。
売却金額ばかりに目を向けず、「最終的な手取り額」に注目することで、現実的で納得のいく売却を目指すことができます。
空き家売却注意として知っておくべき契約リスクと税金
空き家売却後に契約不適合責任を問われる可能性がある
空き家を売却したあとに、「思わぬトラブルが発生した」と後悔するケースの多くに共通するのが、「契約不適合責任」に関する問題です。これは以前まで「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、売却後に発見された不具合や欠陥について、売主が責任を問われる可能性を指します。
たとえば、雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の故障など、目に見えにくい部分の問題が引渡し後に発覚した場合、売主は修繕費用を負担したり、損害賠償を求められたりすることがあります。特に空き家の場合、長期間利用されていなかったために劣化が進んでいることも多く、問題の発見が遅れるケースも珍しくありません。
こうしたリスクを減らすためには、売却前に建物診断(インスペクション)を実施し、物件の状態を把握したうえで、買主にきちんと説明することが重要です。また、契約書に責任の範囲や期間を明記しておくことで、万一の際の対応もスムーズになります。
加えて、住宅瑕疵保険への加入も一つの選択肢です。これにより、売主が支払うべき修繕費用などの一部をカバーできるため、安心して取引を進めることができます。
契約不適合責任を軽視せず、適切な対応を取ることで、売却後のトラブルを防ぎ、買主との信頼関係を築くことができるのです。
空き家売却時の取得費不明は税金負担が大きくなる
空き家を売却する際に意外と多いのが、「取得費がわからない」という問題です。取得費とは、売却対象の物件を入手するためにかかった費用のことを指しますが、特に相続によって得た不動産では、この取得費が不明瞭であるケースがよくあります。
この取得費が不明だと、税務上は「売却金額の5%を取得費とみなす」というルールが適用されてしまいます。たとえば、1,000万円で売却しても取得費が50万円とされ、950万円の譲渡所得があるとみなされてしまうのです。この結果、支払う税金が大きくなり、手元に残る金額が大幅に減少するという事態に陥ります。
こうした事態を防ぐためには、相続時の固定資産税評価額や購入時の売買契約書、領収書など、取得費の根拠となる資料を探し出すことが必要です。古い資料であっても、内容が確認できれば証拠として有効ですので、あきらめずに調査を進めましょう。
また、相続財産を売却する場合には、「取得費加算の特例」という制度もあります。これは、相続税を支払った人が相続財産を一定期間内に売却した場合、その相続税額の一部を取得費に加算できるという制度です。うまく活用することで、譲渡所得税の軽減につながります。
不明瞭な取得費が将来的な税負担に直結することを理解し、資料の保管・発掘を怠らずに進めることが、売却成功の鍵となります。
空き家売却の注意点として特例の適用条件を理解しよう
空き家の売却に伴う税金は高額になることも多く、控除や特例制度の活用が大きな助けとなります。しかし、こうした特例には多くの「適用条件」があることを忘れてはいけません。「自分も使えるだろう」と思っていた制度が、実は条件を満たしておらず使えなかったというケースも少なくありません。
代表的な制度としては、「相続空き家の3,000万円特別控除」があります。これは、昭和56年以前に建築された家屋を相続し、一定の条件のもとに売却した場合、最大3,000万円まで譲渡所得から控除できる制度です。ただし、この制度を受けるには、耐震基準の適合や解体、売却時期、居住の有無など、複雑な条件を満たす必要があります。
また、「取得費加算の特例」や「長期所有による軽減税率の特例」などもありますが、それぞれ適用には申告期限や書類提出が求められ、期限を逃せば一切使えなくなってしまいます。
そのため、売却が決まったらすぐに税理士や不動産会社などの専門家に相談し、どの制度が適用できるのか、どんな書類を用意する必要があるのかを明確にすることが大切です。事前準備を怠ると、控除額が受けられずに大きな損失につながってしまうこともあります。
空き家の売却を「得」に変えるには、制度を正しく理解し、期限を守って的確に申請することが不可欠です。知識を持っているかどうかで、結果は大きく変わってきます。
空き家売却注意をすべて理解して安心売却を実現しよう
空き家の売却は、ただ不動産会社に依頼して終わるような単純な取引ではありません。実際には、事前の準備から契約内容の確認、税金の申告や控除申請まで、多岐にわたる作業と知識が必要です。特に「空き家 売却 注意」の観点からは、全体の流れと各ステップでの注意点を網羅的に把握することが、トラブルを防ぐための鍵になります。
まず、売却を考え始めた時点で取りかかるべきは、名義や書類関係の整理です。名義が自分になっていない場合は相続登記を先に済ませなければならず、これを怠ると売却の話は進みません。また、抵当権が残っている場合も、抹消手続きが必要になります。
次に重要なのは、売却にかかる費用と税金の把握です。仲介手数料や印紙税、登記費用だけでなく、場合によってはリフォームや解体にかかる費用も発生します。さらに売却益が出れば、譲渡所得税の対象となり、確定申告が必要です。税額を減らすための特例も多くありますが、これには申請期限や適用条件があるため、前もっての確認が欠かせません。
そして、実際の売却活動においても注意は必要です。査定は必ず複数社に依頼し、信頼できる不動産会社を選ぶことが、価格面でも手続き面でも安心感につながります。また、契約書の内容は細部まで確認し、トラブルの種を取り除くことが大切です。特に契約不適合責任についての理解がないと、後々大きな損害を被る可能性があります。
最後に、売却後も「終わった」と安心してはいけません。確定申告や控除申請といった「税務面」での作業が残っており、これを怠るとペナルティを受ける場合があります。手続きはすべて期限があるため、売却前から逆算して準備しておくことが成功のポイントです。
空き家の売却をスムーズかつ有利に進めるためには、一つひとつの工程に対して丁寧に取り組む姿勢が求められます。売却による収益を最大化し、同時にリスクを最小限に抑えるには、「空き家 売却 注意」の意識を常に持ちながら行動することが何より重要なのです。


投稿者プロフィール

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有限会社ひかり不動産 代表取締役
宅地建物取引士 二級建築士
埼玉県美里町に生まれ育ち
1987年~1990年:住宅建築・不動産会社勤務
1990年~:有限会社ひかり不動産
2000年~現在:有限会社ひかり不動産 代表取締役
不動産・住宅建築業界一筋で業界歴35年超のベテラン
長年の経験と今まで培ってきた事 そして、こだわりのある
「自然素材の家づくり」について皆様にお伝えします
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